コロナが浮き彫りにしたのは“人と人とのつながり”なのではないかと、ふと思うんです。
対面でなかなか人と会いにくくなり、話すこともオンラインで済ませられてしまう世の中になって、なんだか私は、ものさびしい。
さびしいというと語弊がありそうだけど、実際に会うことでしか得られない空気の共有は、確実にあると思うんです。
すこし過去に、話がさかのぼります。
ちょうど10年前、私は脚本の勉強していて、そのつながりから、新宿ゴールデン街でバーテンダーをしていました。
ゴールデン街って、知らない方のために説明すると、ひとつひとつのすごく小さいお店が、歌舞伎町のいっかくにひしめき合っている。
戦後は闇市だったり青線地帯だったりしたし、文壇・映画・演劇関係の文化人が飲みかわしながら議論をするイメージもあるでしょう。
カウンターは5人から8人座ればいっぱいになってしまうから、だいたいのお客さんが1人か少人数で訪れます。
そして、たまたま同席したほかのお客さんと、自然と会話が始まり、コミュニケーションを味わうのがゴールデン街の楽しみ方でもあります。
簡単にいえば、人との交流を楽しむことができる、とてもいい場所なんです。
ゴールデン街で働いていた時、私はこれまでの人生の中で、いちばん背伸びをしていたように思います。
当時19とかの小娘が、毎夜大人たちに
「私はこれについてこう思う。それであなたはどう思う?」
と、意見を問われる。
それに対する私の答えは、うまく出てきたことのほうが少なくて、いつも、自分とはいったいなんなんだろう、と考えざるを得なかったのです。
「こういえば正論・常識的だろう」
という正解っぽい答えは、頭では分かるけれど、正解が求められている場所ではなかった。
ひとりの人間として、私はこう思う。を語る場所でした。
裏を返せば、自分のもっている答えが少々いびつであっても、偏りがあっても、格好悪くっても全然OKな場所だったのです。
ゴールデン街は、そんなふうに一番背伸びをしていた場所だけど、私にとっては今でも夢に見るくらい大切な思い出の場所です。
というのは、カウンター越しに見ていると、お客さん全員(本当にみんな)が笑っている瞬間というのがあって、
それは身震いするくらい、わたしにとって嬉しかったんです。
でも、夢から覚めた時、心のどっかで怖い感覚になるんです。
わたしは今、何か大切なことを忘れているんじゃないか?
なんとなくこうすればうまく運ぶだろうと、器用に生きすぎているんじゃないか?
喉もとに
「お前はどう思う・どう生きる」
とするどい何かを突き付けられている感じがして…。
今、2020年に話を戻します。
オンラインで色々と済ませられて、リアルで人と会うことが少なくなったから、効率がよくなりました。
出かけるための移動時間もなくなったし、ZOOMで話すなら、画面に映らないところは部屋着でいい。
お互いによく知っている相手と話すなら、化粧の手間すらもはぶける。笑
でも、ふと気づいてしまったのです。
あれ・・・?
なんか、話しているようで、会っているようで、ほんとうには、繋がっていない気がする。
ゴールデン街のカウンターから見た、みんなが笑っている、あの感覚が、無い??
心が震えない気がするんです。
というわけで、私は
原点回帰をしたいと思います。
長らく準備していた、インタビューの新しいサイトが出来ました。
(ここでお知らせかい)
「もっと読み物を書いてほしい」
「ぽろみさんが眺めている世界を、もっと知りたい」
「ぽろみさんの世界観でメディアを作ってみたら?そこには色々な人が参加してもらって…」
そんな声をいただき、着想を得てから、実は2年も経ってしまいました。
どんな形にしたらいいんだ?
メディアを作ったとして、コンテンツは何を入れるんだ?
頭のかたすみに、ずっと引っかかっていました。
完成したメディアは、いちおう、インタビューがメインの形を取っていますが、
もっとフランクな、対談・クロストーク(雑談)のカテゴリーもつくりました。
なんか楽しそうでしょう~~・・・
私と、語りませんか。
どんな風に世界を見ているのか、
社会や人々を眺めて、どう思っているのかを。
正解はありません。
私も、背伸びしないで話します。
自由に話したらいいじゃないの、
ゴールデン街の夜みたいにさ!
というわけです。
年内でちょっとずつ動かしていくので、待っていてください。